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福岡高等裁判所宮崎支部 昭和24年(つ)281号 判決

被告人

吉村義道

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人森兼道の控訴趣意第一点について。

公務執行妨害罪は公務員が職務を執行する場合であることを認識しこれに対し故意に職務執行を妨害すべき暴行脅迫を加えるをもつて足り、現に職務執行妨害の結果を生ぜしめたと否とは、同罪の成否に影響はないのである。今本件につきこれをみれば、原判決挙示の証拠を綜合して考量するに、被告人は原判示日時頃、判示場所において、加治木税務署大藏事務官水流義憲外四名から、燒酎密造現場を発見され、同人等がその職務行爲として証拠品差押処分に着手したところ、原審相被告人吉村秀雄と共謀の上、判示言動をもつて、同人等を脅迫し、暴行を加えんとする勢威を示し、よつて同人等をして、所論物件に対する差押処分を、一時中止するのやむなきに至らしめた原審認定通りの事実を認めることができる。さすれば、よしんば、後日に至り、所論の物件に対する差押処分が完了されたとしても、前説示するところにより、本件公務執行妨害罪の成立すること多言を要しない(中略)論旨は採ることを得ない。

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